その恋は惰性か真実か。145

良かったのかね

良いも悪いも、今のままと言う訳にはいきませんから

此処にいる以上僕は教師で、ギイは生徒でしかない。

それはそうだが、君のやり方は彼には厳し過ぎるのでは?

島田先生は一体どちらの味方なんですか?

僕とギイがただならぬ関係だと言う噂が立ってからこっち、島田先生は僕らを諌めるでもなく傍観をしていただけ、そこにある真意は僕には分からない。

どちらでも。ただ少し若人の手助けはしたいと思ってはいるがね

なら、後の事はお願いします

僕はもうギイの側にはいられない。だからせめて本音を曝け出すことのできる数少ない相手として、彼に寄り添ってあげて欲しい。

せめて想いを返すくらいはしてやっても良かっただろうに

言いません

僕はそう決めてしまったから、この決意を覆しはしない。

ギイには最後まで普通の学生でいて欲しい、此処を出てしまえば只人にはもう戻れないから、せめて残り一年だけだとしても、彼を一人の人間として接している友人達と過ごして欲しい。

その為に僕は祠堂を去る。

恨まれて、嫌われても構いはしない。

二年間、お世話になりました

頭を下げて僕は荷物を手にする。

葉山君、君は自分を知り相手を知る事が出来たかい?

出来ました、十分過ぎるほどに

此処に来るまで、他人を心の底から愛おしいと想える日が自分に訪れるとは思ってもみなかった。

此処へ来て良かったです

そうか。体に気を付けて、今後の活躍に期待しているよ

ありがとうございます。先生もお元気で